ブルーフォード飛行士、宇宙へ アフリカ系初の挑戦成功

【フロリダ 8月30日】

米航空宇宙局(NASA)は本日未明、スペースシャトル「チャレンジャー号(STS-8)」を打ち上げ、アフリカ系アメリカ人として初めてギオン・S・ブルーフォード飛行士(40)が宇宙への第一歩を刻んだ。米国のみならず世界の宇宙開発史に新たな節目を記す歴史的瞬間となった。

打ち上げは現地時間2時32分、湿った夜明け前の空を炎が切り裂き、チャレンジャー号は白煙を曳きながら東方へと上昇。観覧エリアには約25万人の見物客が詰めかけ、轟音とともに揺れる大地を体で感じながら歓声を上げた。NASA広報は「打ち上げは完全に成功した」と発表している。

ブルーフォード飛行士はペンシルベニア州フィラデルフィア出身の元空軍パイロットで、今回のミッションではペイロードスペシャリストとして通信衛星の放出や各種実験を担当する。出発前夜の会見で「子供たちに夢を与えたい。肌の色に関わらず、人は限界を超えられる」と語り、その言葉は多くの市民の胸を打った。

チャレンジャー号は乗員5名を乗せ、今後6日間にわたって地球周回軌道を飛行する計画。通信衛星「インドスAT-1C」の放出や、微小重力下での生体実験など複数のミッションが予定されている。

ワシントンでは、レーガン大統領が「ブルーフォードの勇気は、アメリカの挑戦の象徴だ」と声明を発表。市民の間では「新しい時代の幕開けだ」との声が高まる一方、宇宙開発競争をめぐる議論も再燃している。

夜空に消えた銀色の機影は、人類の未来を照らす希望の光となった。

— RekisyNews 国際・科学技術面 【1983年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次