東京横浜電鉄、渋谷〜丸子多摩川間が開業 郊外連絡の新動脈誕生

【東京・渋谷 8月28日発】

本日、東京横浜電鉄株式会社(社長・五島慶太)は、渋谷〜丸子多摩川間を結ぶ渋谷線の営業運転を開始した。開業区間は全長10.8キロ、停車駅は中目黒・自由ヶ丘・田園調布など計8駅。渋谷から多摩川を渡り、神奈川方面へと抜ける新たな鉄路が誕生したことで、東京西南部から郊外への交通利便性が大きく向上する見込みだ。

午前10時、渋谷駅で行われた開業式には鉄道関係者や沿線地主ら数百人が集まり、第一列車の出発を見送った。祝賀ムードの中、黒塗りの電車が汽笛を鳴らして走り出すと、沿線の商店街や住宅地では子供たちが手を振り、農道脇では農家の人々が作業の手を止めて見守った。

東京横浜電鉄は、急速に人口が増加する東京郊外の開発を進めており、特に田園調布や自由ヶ丘では大規模な宅地造成が進行中だ。今回の開業により、渋谷から多摩川方面への所要時間は従来の路面電車より大幅に短縮され、通勤・通学路線としての利用が期待されている。

同社の五島社長は開業式で「鉄道と街づくりを一体で進め、都市と郊外をつなぐ新しい生活圏を築きたい」と抱負を述べた。沿線ではすでに商店街の整備が進められており、今後は住宅需要の増加と土地価格の上昇が見込まれている。

渋谷駅周辺の商店では開業記念セールが行われ、買い物客で賑わった。自由ヶ丘では「駅前に映画館や市場を誘致したい」との声も上がり、地域住民の期待は高まっている。

東京と郊外をつなぐ新しい鉄路は、都市生活の形を大きく変えるかもしれない。

今日、渋谷を発った一番列車は、近代都市への扉を静かに開いた。

— RekisyNews 社会・交通面 【1927年】

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