【東京 8月26日】
本日、朝日麦酒(現・アサヒビール)は国内初となる缶入りビール「アサヒゴールド」を発表した。内容量は350ミリリットル、価格は75円。瓶に比べて冷えやすく、冷蔵庫で場所を取らない点を訴求し、店頭試飲には長い列ができた。発売は来月から順次とされ、量販店・百貨店を皮切りに流通させる計画という。
容器は当面スチール缶で、天面に缶切りで穴を開ける飲用方式。缶ぶたの注意書きや開栓手順が示され、栓抜き不要の手軽さとは別種の“新作法”が生まれた格好だ。従来の瓶詰めと異なり、持ち運びや屋外での提供にも向くとされる。
メーカーは、往復回収の要る瓶に比べ破損・回収負担の軽減、陳列・冷却効率の向上を強調。家庭では非常時の備蓄や来客用の常備にも適するという。一方で、開封の手間や味わいの変化を懸念する声もあり、同社は製造法と容器改良を継続する方針だ。ビールをどこでも、同じ味で”楽しめるという新カテゴリーの登場は、外食と家庭消費のあいだを広げ、流通や家電にも波及しそうだ。戦後の食生活が多様化するなか、缶という器は嗜好品の時間と場所の制約をさらに緩める。今秋、白と金の新顔が冷蔵庫の定位置を争い始める。