東大宇宙研、電波観測衛星「でんぱ」打ち上げ 宇宙のプラズマ計測へ

 【鹿児島・内之浦 8月19日】

本日午前、東大宇宙航空研究所は電波観測衛星「でんぱ」(REXS)を鹿児島宇宙空間観測所からM-4Sロケット4号機で打ち上げ、衛星を地球周回軌道に投入した。目的は宇宙空間のプラズマ波・電子密度・地磁気などの計測で、将来の宇宙物理研究の基盤整備を狙う。打上げ時刻は11時40分。軌道投入は計画どおり進んだ。 

「でんぱ」は東大宇宙研の第2号科学衛星で、八角柱型・質量約75kg。近地点約250km、遠地点約6500kmの楕円軌道を周回し、周期は約161分とされる。観測機器には電磁波・プラズマ波測定装置、磁力計などを搭載する。

初回の内之浦受信では、ロケット最上段からの分離、観測用アンテナおよびセンサの伸展、電源系の発電状況が順調に確認された。地上局は心電図のようなテレメトリ波形を追い、衛星姿勢や温度のデータ取得を開始した。

東大宇宙研は昨年の「しんせい」に続く成果と位置づけ、ミュー(M)ロケットの運用成熟と科学衛星計画の加速を強調。国内外の観測網と連携し、電離圏から磁気圏に至る広い領域の連続データを集める方針だ。 

宇宙空間を満たすプラズマのふるまいは、オーロラや無線通信障害の理解にも直結する。小型衛星による精密計測が、宇宙天気の解明と日本の宇宙科学の地歩固めに資することが期待される。 

— RekisyNews 科学・宇宙面 【1972年】

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