【ベルリン 8月18日】
本日、ベルリンで国民向けに開発された新型ラジオ受信機「VE301W」が初めて公開された。ナチス政権の主導で設計されたこの装置は「国民ラジオ」と称され、誰もが安価に入手できることを目標としている。会場には政府関係者やメーカー代表、市民らが集まり、公開の瞬間には大きな拍手が起こった。
「VE301W」は操作を簡易化し、一般家庭でも容易に使用できるよう工夫されている。価格も従来機より抑えられ、庶民の家計でも購入可能な水準に設定された。政府は、ラジオ放送を全国に普及させることにより、文化・娯楽の共有を図るとともに、国民意識の統一を目指す方針を示している。
試験放送では音楽や演説が流され、集まった市民は耳を傾けた。来場者の一人は「これまでラジオは一部の富裕層だけのものだったが、今後は我々の家にも届く」と興奮気味に語った。メーカー側は大量生産体制を整え、数十万台規模で市場に投入する計画を明らかにしている。
一方で、ラジオ普及の背景には政府の情報伝達を効率化する狙いがあるとの見方も強い。演説や政策の放送が全国同時に行われれば、国民への影響は計り知れない。通信関係者の中には「新しい通信機器が文化の発展と同時に政治的役割を担うことは避けられない」と指摘する声もある。
とはいえ、一般家庭に安価な受信機が届けられることは、国民生活に大きな変化をもたらすだろう。音楽や演劇の放送、教育的な番組が広がれば、新たな娯楽と知識の窓口となることが期待される。
本日公開された「VE301W」は、単なる技術製品にとどまらず、ドイツ社会の新時代を象徴する存在として注目を集めている。
— RekisyNews 科学・社会面 【1933年】