史上初の決勝引き分け 延長18回、両校一歩も譲らず

 【甲子園球場 8月18日】

第51回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦が本日行われ、松山商業(愛媛)と三沢(青森)が延長18回を戦い抜き、0−0のまま引き分けとなった。大会史上、決勝戦での引き分けは初めてであり、明日再試合が行われる。

試合は開始から緊張感に包まれ、両校の投手が抜群の集中力を見せた。松山商業の井上投手、三沢の太田投手はいずれも直球と変化球を巧みに操り、走者を背負っても要所を締める投球を続けた。両軍の守備も安定し、再三の好守で得点を許さず、試合は次第に投手戦の様相を強めていった。

六回には三沢が二死満塁の好機を迎えたが、井上投手が三振で切り抜けた。八回には松山商業が一死三塁としたが、太田投手が冷静に後続を断った。観客席からはため息と歓声が交錯し、球場全体が息をのむ展開が続いた。

延長戦に入っても両投手の気迫は衰えず、白球は夜空に吸い込まれるように飛び交った。十八回を終えてもスコアボードには「0」が並び、規定により引き分け再試合が決定した瞬間、スタンドからは大きなどよめきと拍手が起こった。

この歴史的な熱戦に、観客の一人は「両校とも力の限りを尽くした。勝敗を超えて胸を打たれる試合だった」と語った。選手たちは疲労の色をにじませながらも、明日の再試合に向けて気持ちを切り替える様子を見せている。

夏の大会の歴史に新たな1ページを刻んだ両校の戦いは、全国の高校球児にとっても大きな刺激となるに違いない。明日の再戦で、ついに栄冠の行方が決まる。

— RekisyNews スポーツ面 【1969年】

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