ソ連、金星探査機ベネラ7号を打ち上げ 未知の惑星表面へ挑戦

 【モスクワ 8月17日】

ソビエト連邦は本日、惑星探査計画の一環として金星に向けた無人探査機「ベネラ7号」を打ち上げた。これまで数度にわたり挑戦が重ねられてきたが、今回の任務はとりわけ野心的で、金星の厚い大気を突破して表面に着陸し、直接の観測データを地球へ送信することを目標としている。

打ち上げはカザフ共和国のバイコヌール宇宙基地で行われ、探査機を搭載したロケットが正午過ぎに轟音とともに上昇した。追跡センターの担当者は「順調に軌道に乗り、金星へ向けた航行を開始した」と発表している。

ベネラ7号は強化された耐熱構造を持ち、摂氏数百度に達するとされる金星の表面環境に短時間ながら耐える設計が施されている。内部には気圧・温度・風速を測定する装置が搭載されており、無事に着陸が果たされれば、人類史上初めて金星の地表からの直接観測が可能となる。

宇宙科学者の一人は「これまでの探査機は大気圧と高温に耐えきれず失敗を重ねてきた。もし成功すれば惑星探査に新たな時代が開かれる」と期待を寄せる。一方で「着陸の困難さは計り知れず、成功する保証はない」と慎重な見方もある。

市民の間でも宇宙への関心は高く、ラジオ報道を聞いた若者の一人は「地球以外の世界に機械が降り立つと考えるだけで胸が躍る」と語った。

ベネラ7号は数か月にわたって航行し、年末にも金星に到達する見込みだ。未知の世界への挑戦がどのような成果をもたらすのか、世界中の注目が集まっている。

— RekisyNews 科学・国際面 【1970年】

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