【東京 8月11日】
帝人は本日、日本初のミニスカートとなる**「テイジンエル」を発売した。ひざ上約10センチ**の丈をうたう同製品は、量産の既製服としては国内で初めての“ミニ”。店頭には早くも若い女性が集まり、試着室前には長い列ができた。
同社は「軽快さと動きやすさを両立した新シルエット」と位置づけ、通勤・街着の双方を想定。これまでの膝丈スカートと差し替えられる“ワードローブの核”を狙う。ファッション史の文脈では、年初から欧州で短丈化の潮流が加速しており、クレージュらの提案が話題となっていた。日本でも百貨店・専門店筋は「秋に向け裾線が一段上がる」と読み、陳列やマネキンの更新を急ぐ。
街の反応は賛否入り交じる。銀座のブティック店員は「動きがきれいに出る」と歓迎する一方、年配客からは「階段や車の乗り降りが心配」との声も。とはいえ海外では“ミニ”の定着は段階的に進んだとされ、今後の広がりは有名人の着こなしやメディア露出次第という見方が強い。
流行の鍵を握るのは、生活者の“納得感”だ。関係者は「新しい丈は単なる奇抜さではなく、軽やかさ=時代感の表現」と分析。数年内には海外モデルの来日を機に一気に普及する -そんな予測も流れている。実際、ツイッギーのようなアイコンがまとえば、ムーブメントは加速するだろう。
戦後の装いは、いま転機を迎える。今日の「テイジンエル」は、日常の裾線を未来へと引き上げる第一歩になりそうだ。
— RekisyNews ファッション面【1965年】