シャープとソニーが電卓発表、計算機の小型化に成功

【東京 3月18日】

本日、早川電機(現・シャープ)とソニーの2社が、商用製品としては世界初となる電子式卓上計算機(電卓)をそれぞれ発表した。これまで巨大で高価な真空管式の計算機や、騒音の激しい機械式計算機が主流だった市場に、半導体を用いた小型・高速の「卓上型」が登場したことは、まさに歴史的な転換点である。

早川電機が発表した「コンペット CS-10A」は、530個のゲルマニウムトランジスタと2,300個のダイオードを使用し、重さは約25キログラム。価格は53万5,000円と、当時の小型乗用車が1台買えるほどの高額だが、静粛性と計算スピードは従来の比ではない。一方のソニーが発表した「MD-5」も、独自の回路設計により圧倒的な演算能力を誇る。両社の製品ともに、これまで熟練の技能を要した複雑な計算を、誰でもボタンひとつで瞬時に行えるようにした点が最大の特徴だ。

この「電卓」の登場は、単なる事務機の進化に留まらない。部品の集積化が進めば、さらなる小型化と低価格化が可能となり、将来はオフィスだけでなく個人の生活にまで計算機が普及する道筋を示している。関係者は「これは数字を扱うすべての人間にとっての解放だ。計算の苦労から人類を解き放つ一歩になる」と期待を寄せる。

現在、日本は高度経済成長の只中にあり、事務処理の効率化は喫緊の課題となっている。本日発表された2つの新製品は、世界に先駆けて日本の電子技術の高さを示すとともに、来るべき情報化社会への扉を力強く押し開いた。この「卓上サイズ」への凝縮は、未来のコンピュータ社会を予感させる輝かしい成果といえる。

— RekisyNews 経済面 【1964年】

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