AMラジオ、ついにステレオ化 ── 東阪5局が同時「産声」

【東京・大阪 3月15日】

本日午前9時、日本のラジオ放送に新たな歴史が刻まれた。東京のTBSラジオ、文化放送、ニッポン放送、および大阪の毎日放送、朝日放送の計5局が、日本初の「AMステレオ本放送」を一斉に開始した。これまでモノラルが当たり前だったAM放送が、ついにFM放送のような広がりのある音響空間を手に入れた。

午前9時ちょうど、各局の番組内で「ステレオ放送開始」のアナウンスが流れると、専用受信機を持つリスナーの元には、左右に分離された鮮明な音が届けられた。ニッポン放送では『ステレオ一番乗り!』と題した特番が組まれ、TBSラジオや文化放送でも、音楽や効果音を駆使してステレオの臨場感を強調する演出がなされた。

今回のステレオ化には、米国モトローラ社が開発した「C-QUAM方式」が採用されている。AM放送特有の遠距離受信能力を維持しつつ、左右の音声信号を合成して送信するこの技術により、特にプロ野球中継での打撃音や観客の声、また音楽番組における楽器の配置がよりリアルに再現されるようになる。

現在、家電メーカー各社からはAMステレオ対応のラジカセやウォークマン、カーステレオが続々と発売されている。長らく「ニュースと実況のメディア」であったAMラジオが、今回の高音質化を機に「音楽と娯楽のメディア」としてFM放送に肩を並べる存在になれるか。放送業界全体が、この「音の革命」の行方に大きな期待を寄せている。

— RekisyNews 文化面 【1992年】

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