【マサチューセッツ州 ケンブリッジ 3月15日】
本日、Lispマシン(人工知能開発用コンピュータ)の製造で知られるシンボリックス社が、インターネット史上初となる商用ドメイン名「symbolics.com」を正式に取得した。これは、ネットワーク上の住所を識別するための新たなシステム「ドメイン・ネーム・システム(DNS)」に基づき登録された、世界で初めてのドットコム・ドメインである。
これまでインターネット(ARPANET)は、主に国防総省や大学の研究機関による学術・軍事目的での利用が中心であった。しかし、今回の「.com(コマーシャル)」ドメインの登場は、コンピュータ・ネットワークが将来的にビジネスや営利活動の場へと進化していく道筋を明確に示したものといえる。
シンボリックス社は、AI研究において最先端を走る企業であり、自社のネットワーク環境を整理・拡張するためにこの登録を行った。現在、ネットワーク上のコンピュータは数字の羅列(IPアドレス)で管理されているが、この「.com」のようなアルファベットによる名称が普及すれば、一般のユーザーにとってもネットワークの利用が飛躍的に容易になることが期待される。
現時点では、この「.com」という3文字が将来、世界中の何億という企業や個人を結ぶ巨大な商業圏の象徴になると予測する者は少ない。しかし、本日刻まれた「symbolics.com」という文字列は、デジタル空間における不動産権の確立という、歴史的な一歩として後世に語り継がれることになるだろう。
— RekisyNews 産業面 【1985年】
