【マンチェスター/ロンドン 3月15日】
本日、英国の自動車界に新たな歴史が刻まれた。卓越した技術者ヘンリー・ロイスと、大胆な冒険家であり貴族的な商才を持つチャールズ・ロールスの両名により、新会社「ロールス・ロイス・リミテッド」が正式に設立された。これは、1904年の初対面以来、両者が築き上げてきた協力関係を強固な組織として統合するものである。
マンチェスターの工場で完璧な車造りに執念を燃やすロイスと、ロンドンのショールームで最高級車の需要を熟知するロールス。この二人の結びつきは、単なるビジネスの枠を超え、英国の工業技術が世界の頂点を目指すための強力なエンジンとなっている。
新会社は、現在開発中の新型6気筒モデル、通称「シルバーゴースト(40/50HP)」に全力を注ぐ方針だ。この車両は、驚異的な静粛性と、故障を知らない耐久性を兼ね備えていると噂されている。ロイス氏は「最高を追求せよ。存在しないのなら、それを創造せよ」という哲学を掲げ、ネジ1本の精度に至るまで徹底した管理を行っている。
ロンドンやパリの社交界では、早くも「ロールス・ロイス」の名は、信頼とステイタスの象徴として囁かれ始めている。馬車に代わる新たな移動手段が模索される中、同社が生み出す「世界最高の車」は、単なる交通手段を超えた、芸術作品としての地位を確立しようとしている。
— RekisyNews 産業面 【1906年】
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