吉野山に「空の道」開通 ── 日本最新鋭の索道、参拝客の足に革命

【奈良・吉野 3月12日】

本日、桜と修験道の聖地として知られる奈良県吉野山において、吉野ロープウェイ(吉野山旅客索道)が待望の営業を開始した。麓の千本口駅から山上の吉野山駅までを数分で結ぶこの「空の客車」の登場により、これまで険しい坂道を歩まねばならなかった参拝客や観光客の利便性は飛躍的に向上することになる。

今回導入された設備は、最新の土木技術を駆使した懸垂式索道である。2台の客車が交互に往復するつるべ打ち方式を採用し、安全面においても細心の注意が払われている。特にその心臓部といえる支柱や曳索(ワイヤー)は、急峻な地形に耐えうる堅牢な設計となっており、関係者は「100年先まで耐えうる近代化の象徴だ」と胸を張る。

吉野山は、古来より「一目千本」と称される桜の名所であり、金峯山寺を擁する霊場でもある。しかし、その急峻な山道は高齢者や婦女子にとって大きな障壁となっていた。本日、一番列車に乗り込んだ地元の住民らは、窓外に広がる吉野の絶景を眺めながら、その静かで滑らかな乗り心地に驚嘆の声を上げた。

現在、全国各地で観光振興を目的とした交通網の整備が進んでいるが、この吉野のロープウェイは、伝統的な霊場の景観を損なうことなく、近代技術を融合させた先駆的な事例となるだろう。来月から始まる観桜期には、この「空の足」を利用して例年以上の人出が予想されており、吉野の町全体が活況に沸いている。

— RekisyNews 社会面 【1929年】

アイキャッチ画像 TRJN – 投稿者自身による著作物, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=36051386による

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