【ヴィックスバーグ(米ミシシッピ州) 3月12日】
本日、ミシシッピ州ヴィックスバーグにおいて、飲料業界の未来を塗り替える画期的な試みが始まった。菓子店主ジョセフ・ビーデンハーン氏が、人気飲料「コカ・コーラ」を瓶に詰めて販売することに成功したのである。これまでアトランタの薬局などのソーダファウンテンでしか味わえなかった「魅惑のシロップ」が、ついに店外へ持ち出し可能となった。
ビーデンハーン氏は、店に注文しに来る客が「家でもこの味を楽しみたい」と願う声を聴き、店内のシロップと炭酸水を自ら瓶詰めする装置を導入。採用されたのは、針金を使って栓を固定する「ハッチンソン・ボトル」と呼ばれる頑丈なガラス瓶だ。
「これまではカウンターに座らなければ飲めなかったが、これからはピクニックや労働の合間にも、この爽快感を味わえる」と、ビーデンハーン氏は自信を見せる。氏は早速、アトランタのコカ・コーラ社社長エイサ・キャンドラー氏に瓶詰めのサンプルを送付。キャンドラー氏自身は当初、瓶入り販売の将来性に懐疑的であったとされるが、本日の好調な売れ行きは、その懸念を払拭するに十分な勢いを見せている。
この「持ち運べるコカ・コーラ」の誕生は、単なる販売形態の変更に留まらない。生活様式の変化に合わせたこの流通革命は、やがて全米、そして世界中の家庭にこの黒い炭酸飲料を届けるための第一歩となるだろう。ヴィックスバーグの小さな菓子店から始まったこの挑戦が、巨大なビジネスへと膨れ上がる予兆を、市民たちは喉を鳴らして歓迎している。
— RekisyNews 社会面 【1894年】
