【小倉 3月10日】
本日、小倉市の中島・旦過地区において、わが国の流通史に金字塔を打ち立てる画期的な食料品店「丸和フードセンター」が開店した。これまでの商店の常識であった「対面販売」を廃し、顧客が店内の棚から自由に商品を選び、出口のレジで一括精算する、日本初の本格的スーパーマーケットの登場である。
創業者の岩崎規矩夫氏は、米国の先進的な小売手法を徹底的に研究。店内には精肉、鮮魚、青果の「生鮮三品」をはじめ、加工食品や日用雑貨が整然と陳列されており、買い物客はカゴを手に、自分のペースで品定めをすることができる。
本日午前中の開店と同時に、物珍しさも手伝って大勢の主婦らが詰めかけた。当初は「自分で商品を取るのは万引きをしているようで落ち着かない」といった戸惑いの声も聞かれたが、明朗な価格表示と、一度の会計で済む利便性に、多くの客が驚きと喜びを隠せない様子だ。
この「セルフサービス方式」の導入は、人件費の抑制による低価格化を可能にするだけでなく、消費者の購買行動そのものを根本から変える可能性を秘めている。丸和の挑戦は、戦後日本の消費社会を牽引する新たな産業形態、スーパーマーケット時代の幕明けを告げるものとなるだろう。
— RekisyNews 産業面 【1956年】
