「鉄の城」崩壊 ── 山陽特殊製鋼、負債480億円で会社更生法申請

【神戸 3月6日】

本日、特殊鋼大手の山陽特殊製鋼(本社・兵庫県姫路市)は、神戸地裁姫路支部に会社更生法の適用を申請し、事実上倒産した。負債総額は、関連会社を含め約480億円に達し、昭和32年の矢野特殊自動車による負債額を大幅に上回る第二次世界大戦後最大の企業倒産となった。

同社は、創業者である上田博社長によるワンマン経営の下、高度経済成長の波に乗り、最新鋭の設備投資を強引に進めてきた。しかし、鉄鋼不況による需要減退に加え、過剰な設備投資が経営を圧迫。さらに、粉飾決算や不透明な資金流用など、乱脈経営の疑いも浮上しており、その放漫な経営実態が白日の下に晒される形となった。

「不渡りを出さない山陽特鋼」として、金融機関からも厚い信頼を得ていた同社の突然の破綻は、経済界に計り知れない衝撃を与えている。本日午後に記者会見した上田社長は、硬い表情で「一意専心、再建に尽くしたい」と述べたが、メインバンクである三菱銀行をはじめとする各行は、厳しい姿勢を崩していない。

今回の事態を受け、佐藤栄作内閣も緊急の対策に乗り出した。一企業の倒産が、日本経済全体の信用秩序を揺るがしかねないとの危機感からだ。司法当局もまた、商法違反(粉飾決算)の疑いで同社の強制捜査に踏み切る構えを見せている。

戦後復興を牽引してきた「鉄」の分野で起きたこの巨大な蹉跌は、数字の上での成長に酔いしれてきた日本経済に対し、あまりに重い警鐘を鳴らしている。

— RekisyNews 経済面 【1965年】

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