【ワシントン 3月5日】
本日、アメリカ合衆国特許商標庁は、発明家ジョージ・ウェスティングハウス氏(25歳)に対し、鉄道用の「自動空気ブレーキ」に関する革新的な特許を交付した。この発明は、高速化と重量増大が進む鉄道輸送において、長年の課題であった「安全な制動」に決定的な解決策を提示するものである。
これまでの鉄道用ブレーキは、各車両に配置された制動手が機関士の合図に合わせて手動でハンドルを回すという極めて原始的かつ危険なものであった。しかし、ウェスティングハウス氏が考案した新システムは、機関車に備えられた空気圧縮機(コンプレッサー)から各車両に配管されたホースを通じて、圧縮空気を送り込むことで、すべての車輪を一斉に制御することを可能にした。
特筆すべきは、今回の特許に含まれる「自動制動機能」だ。万が一、車両同士の連結が外れたり、空気管が破損したりして空気圧が下がった場合、予備の空気タンクが作動して自動的にブレーキがかかる仕組みとなっている。これにより、暴走事故のリスクは劇的に低減されることとなる。
ウェスティングハウス氏は「鉄道の未来は、速度を上げることではなく、確実に止める技術にかかっている」と語った。この発明は、大陸横断鉄道の開通を経て、物流と旅客の心臓部となったアメリカの鉄道網において、輸送効率を飛躍的に高める原動力となるだろう。
すでにペンシルベニア鉄道などで試験運用が始まっており、その驚異的な制動性能は実証済みだ。蒸気機関の力で巨大な鉄の塊を制御するこの「空気の力」は、やがて世界中の線路を駆け巡る列車の標準装備となり、近代化を加速させるに違いない。
— RekisyNews 技術・産業面 【1872年】
