セーヌ河畔に銀の塔 ── 旅籠「トゥール・ダルジャン」開業、美食の歴史始まる

【パリ 3月4日】

フランス国王アンリ3世が統治するパリのセーヌ河畔、トゥルネル河岸において本日、新たな旅籠(オーベルジュ)「トゥール・ダルジャン(銀の塔)」が開業した。かつてこの地にそびえ立っていた、夕日に輝く白亜の塔をその名の由来とするこの店は、パリの新たな社交と休息の拠点となることが期待されている。

店主のロトワール氏は、セーヌを望む絶好のロケーションにおいて、旅人や貴族たちに最高級の料理とワインを提供することを目指している。特筆すべきは、同店が追求する徹底した洗練だ。伝え聞くところによれば、アンリ3世自身もこの場所を訪れ、その格式の高さを称賛したという。

また、この店では現在、ヴェネツィアからもたらされたとされる「フォーク」の使用が試みられているという。これまで手づかみで食事をすることが一般的であったフランスの食卓において、この二本歯の道具を用いる所作は、まさに次世代の宮廷文化を先取りするものとして注目を集めている。

トゥール・ダルジャンは、単なる食事の場を超え、フランス料理が芸術へと昇華していく聖地となるだろう。将来、この「銀の塔」がどのような伝説を刻み、世界の美食家たちを惹きつけることになるのか。パリの夕暮れに輝くその看板は、長い歴史の幕開けを告げている。

— RekisyNews 海外面 【1582年】

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