「演劇の殿堂」ついに開館 ── 帝国劇場、丸の内に燦然と誕生

【東京・丸の内 3月1日】

本日、東京・丸の内の三菱ヶ原の一角に、日本初の純洋式劇場となる帝国劇場(通称:帝劇)が開館した。皇居を望む地にそびえ立つ白亜のルネサンス様式建築は、近代国家としての日本の文化水準を世界に指し示す壮麗な偉容を誇っている。

開館式には政財界の重鎮や各国大使らが出席。渋沢栄一氏や大倉喜八郎氏ら、設立の中心となった実業家たちは「わが国の演劇を改良し、家庭とともに楽しめる健全な娯楽を提供したい」と、その志を語った。劇場内部は、深紅の絨毯にシャンデリアが輝く豪華絢爛な空間で、椅子席を基本とした客席構成は、従来の芝居小屋の常識を覆す革新的なものだ。

特筆すべきは、日本初の本格的な女優養成所を併設している点だ。これまで歌舞伎を中心とした男性優位の演劇界に、女性による演劇という新たな息吹を吹き込むことが期待されている。記念すべき第1回公演は、能楽や歌舞伎の祝儀舞に加え、シェイクスピア劇の一部が披露され、まさに和洋折衷の「新時代の幕開け」を印象づけた。

「今日は帝劇、明日は三越」という言葉も囁かれ始める中、この劇場は単なる興行施設を超え、大正・昭和へと続くモダン文化の発信地となることは間違いない。丸の内に灯った芸術の光は、日本の夜をより華やかに彩っていくことになるだろう。

— RekisyNews 文化・社会面 【1911年】

アイキャッチ画像 A.Davey from Portland, Oregon, EE UU – Imperial Theater, Tokyo, CC 表示 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60981309による

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