【東京 2月28日】
国内コンピュータ大手の富士通は本日、世界で初めてCD-ROMドライブを標準搭載した、個人向け32ビット・ハイパーメディア・パソコン「FM TOWNS(エフエム・タウンズ)」を発表した。これまでの「事務機器としてのパソコン」という概念を根底から覆し、音、映像、そしてインタラクティブな体験を融合させた、まさに「マルチメディア時代」の先陣を切る野心作の登場である。
「FM TOWNS」の最大の特徴は、従来のフロッピーディスクの数百倍に及ぶ大容量を誇るCD-ROMを中核に据えた点にある。これにより、フルカラーの美しい画像や、ステレオによる高音質なデジタルサウンドを自在に扱うことが可能となった。発表会では、CD-ROMから読み込まれた迫力あるアニメーションや、実写映像を用いた学習ソフトがデモンストレーションされ、詰めかけた報道陣や業界関係者からは驚嘆の声が上がった。
OSには、MS-DOSの上に独自のGUIを構築した「TOWNSシステム」を採用。マウスによる直感的な操作を実現しており、子供から大人までが楽しめる「ホビー・教育」市場の開拓を目指している。また、ゲームファンにとっても、業務用ゲーム機に匹敵するスプライト機能や色再現性は大きな魅力となるだろう。
富士通の担当者は、「この一台が、家庭における情報のあり方を変える。もはやパソコンは数字を打つためだけのものではない」と自信を覗かせる。価格は30万円台からと高価ではあるが、情報化社会が家庭へと浸透していく平成の幕開けにおいて、この「灰色のマシン」が投じた一石は、未来のコンピュータライフを予感させるに十分な衝撃を放っている。
— RekisyNews 経済・技術面 【1989年】