【京都 2月27日】
任天堂は本日、ゲームボーイ(GB)向けソフト『ポケットモンスター 赤・緑』を発売した。開発を手掛けたのは、田尻智氏率いる精鋭集団「ゲームフリーク」。長らく「一人で遊ぶ」ことが主流だったゲームボーイに、通信ケーブルを介した「交換と対戦」という新たな概念を盤石に組み込んだ本作は、発売初日から感度の高い若年層の間で静かな、しかし確かな波紋を広げている。
本作の舞台は、151種類の不思議な生物「ポケモン」が生息するカントー地方。プレイヤーはポケモンを捕獲し、育てながら、各地のジムリーダーを倒して頂点を目指す。特筆すべきポイントは、ソフトを『赤』と『緑』の2バージョンで展開した点にある。それぞれのソフトで出現するポケモンに差異を設けることで、図鑑を完成させるためには「他者との交換」が不可欠となる仕組みを構築。これにより、ゲーム機を介した子供同士の直接的なコミュニケーションが促進される設計となっている。
開発には異例の6年という歳月が費やされ、ハードウェアの寿命が囁かれるGBの限界に挑んだ。1MBにも満たない小さなカセットの中には、緻密に計算されたマップと、個性豊かなモンスターたちが盤石に詰め込まれている。発売を迎えた本日、玩具店の店頭では、お互いに別の色を購入し、将来の交換を約束し合う少年たちの姿が見られた。
この『ポケットモンスター』が、後の携帯ゲーム市場をいかに牽引し、世界的なメディアミックスへと発展していくのか。小さな画面から始まった151種の物語は、日本のポップカルチャーの歴史を塗り替える大きな一歩として、今、静かに歩み始めた。
— RekisyNews 文化面 【1996年】
