【ニューヨーク 2月25日】
ウォール街の巨人が、ついに世界最大の産業トラストを完成させた。
銀行家J・P・モルガンは本日、アンドリュー・カーネギーの鋼鉄会社をはじめとする主要企業を統合し、USスチール(合衆国製鉄)を創立した。資本金は当時の国家予算を遥かに凌ぐ14億ドル。一民間企業が「10億ドル企業」の壁を突破したことは、米国の経済秩序が個人の競争から「巨大独占」の時代へ移行したことを告げている。
今回の創業は、カーネギーの引退表明を受け、モルガンが電撃的な買収交渉を盤石に進めたことで実現した。彼は乱立する鉄鋼メーカーを一つの傘下に収めることで、過当競争を排除し、生産から輸送までの垂直統合を確立。これは、近代資本主義における「効率」の極致であると同時に、市場の支配権を特定の資本家に集中させるコーポレート・アメリカの雛形を盤石なものとした。
現場となったニューヨークの金融街では、この巨大帝国の誕生に株価が激しく動揺し、驚愕の声が広がっている。ある経済学者は「モルガンは国家を凌ぐ力を手にした」と語り、独占への警戒を強めている。一方で、鉄鋼という国家の基幹産業が統一されたことで、米国の工業力は世界を圧倒する規模へと膨れ上がった。
鋼鉄を統べる者は、国家を統べる。モルガンが築いたこの巨大な「城」は、米国の繁栄を支える背骨となると同時に、独占禁止法という正義との果てしない闘争の幕開けとなった。
— RekisyNews 経報 【1901年】
