「関東初」の電車、川崎に産声 ── 大師電気鉄道が本日創立

【川崎 2月25日】

川崎大師への参拝客を運ぶ新たな「鉄の足」が、いよいよ現実のものとなる。本日、大師電気鉄道株式会社(後の京浜急行電鉄)が正式に創立された。これは、京都の路面電車に次いで全国で3番目、関東では初となる電気鉄道事業への挑戦である。蒸気機関車のような煙を出さず、電気の力で滑らかに走る「電車」という最新技術の導入により、古くからの門前町に近代化の光が灯ろうとしている。

今回の創立の背景には、初詣や縁日のたびに凄まじい混雑を見せる川崎大師(平間寺)への参詣路を、より迅速かつ快適に結びたいという地元有志らの強い熱意がある。立川勇次郎氏らを中心とした創立メンバーは、従来の馬車鉄道ではなく、あえて最先端の「電気」による牽引を選択。これは、わが国の輸送インフラが馬や蒸気から電力へと移行する歴史的な転換点を象徴する出来事である。軌道は標準軌を採用し、まずは六郷橋から大師間に及ぶ路線の建設を盤石に進める構えだ。

現場となった川崎の仮事務所周辺では、株主や関係者らが集まり、新しい時代の幕開けを祝う活気に満ちている。電車の導入は、単なる移動手段の確保に留まらず、沿線の工業化や宅地開発を促す「都市発展の起爆剤」としても期待されている。ある創立委員は「大師様への道が、電気の力で一本に繋がる。これは単なる参詣鉄道ではなく、将来は東京と横浜を結ぶ壮大な高速鉄道網の礎となるはずだ」と、遠い未来を見据えるような力強い口調で語った。

この大師電気鉄道の創立が、関東における私鉄経営のモデルケースとなり、後の京浜間における大輸送路の確立を盤石なものにしていくのではないかとの見方もある。多摩川のほとりで産声を上げたこの小さな鉄路が、首都圏の地図をいかに書き換えていくのか、その歩みが鋭く注目される。

— RekisyNews 工報 【1898年】

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