【上野 2月24日】
わが国最大の私鉄、日本鉄道の鉄路が本日、かつてない事態により完全に沈黙した。上野駅から青森駅を結ぶ東北本線において、機関士ら約400名が待遇改善を求めて一斉に仕事を停止。これにより、北の物流の要である同区間が全面的に運休する事態となった。これは、わが国の産業史上、組織化された労働者が実力行使によって経営側に挑んだ初の鉄道ストライキであり、近代化を急ぐ大日本帝国の社会基盤に激震を走らせている。
紛争の背景には、会社側による「機関士の地位引き下げ」と「不透明な給与体系」への強い反発がある。機関士らは「技術の専門家として相応の礼遇」を求め、事前に改善を申し入れていたが、会社側はこれを黙殺。これに対し、機関士たちは密かに結束を固め、本日未明から「一斉休暇」という形でのボイコットを断行した。彼らは自らを「同盟」と称し、軍隊的な規律を保ちながら整然と業務を離脱。単なる暴動ではなく、知略を用いた組織的抗争としての性格を鮮明にしている。
現場となった上野駅では、発車予定の列車が冷たい蒸気を吐き出すこともなく立ち往生し、足止めを食った乗客たちの怒声と困惑が渦巻いている。駅構内の片隅では、黒い作業着に身を包んだ機関士たちが腕を組み、固い決意を秘めた眼差しで線路を見つめている。あるスト参加者は「我々は炭にまみれ、命を預かって走ってきた。会社が我々を単なる機械の一部と見なすなら、その機械が止まった時の重みを知るべきだ」と、静かながらも力強い口調で語った。
この日本鉄道のストライキが、他業種の労働者たちにも大きな刺激を与え、わが国における労働運動の本格的な組織化を加速させるのではないかとの見方もある。また、国家の血管とも言える鉄道が「人の手」によって止まるというこの事実が、後の治安警察法の制定や社会政策のあり方にいかなる影響を及ぼし、近代日本の労使関係を盤石なものにするのか。北へ向かうレールが冷たく凍てつく中、労働者たちが示した「拒否の力」が社会をいかに揺さぶり続けるのか、その行方が鋭く注目される。
— RekisyNews 社会面 【1898年】
