【東京 1月12日】
本日の東京証券取引所における株式取引で、日経平均株価は前日比変わらずの3万1143円45銭で取引を終えた。寄り付きから大引けまで売り買いが交錯したものの、終値が前営業日と完全に同一となるのは極めて珍しく、市場関係者の間に静かな驚きをもって受け止められている。
この日は、バブル景気のただ中にある日本株市場において、引き続き高値警戒感と強気姿勢が拮抗した。金融、不動産、建設といった主力株には買いが先行する場面もあった一方、利益確定売りも根強く、指数全体としては方向感を欠いた展開となった。結果として、終値が小数点以下まで完全に一致する「前日比変わらず」という異例の記録が生まれた。
市場関係者は「これほどの高水準で均衡が保たれるのは、投資家心理が極めて拮抗している証左」と指摘する。昭和から平成へと時代が移り変わった直後の市場には、先行きへの期待と同時に、過熱への警戒も色濃く漂っている。
日経平均株価はすでに3万円の大台を大きく上回り、戦後日本経済の成長を象徴する水準に達している。その中で示された一日の完全な「静止」は、熱狂の只中に生じた一瞬の均衡として、市場史に小さくも特異な足跡を残すことになりそうだ。
— RekisyNews 経済面 【1989年】
