マデロ氏、一斉蜂起を呼びかける──ディアス政権に揺らぐメキシコ

フランシスコ・マデロ

【サンアントニオ 11月20日】

本日、亡命先の米国テキサス州サンアントニオに滞在していた実業家フランシスコ・マデロ氏が、メキシコ国内の支持者に向けて一斉蜂起を呼びかける宣言(「サン・ルイス・デ・ポトシ計画」)を発した。長期政権を続けるポルフィリオ・ディアス大統領の選挙不正と独裁体制を非難し、「自由選挙の回復」を掲げて武装抵抗を促すもので、国内では早くも農民・労働者らが各地で立ち上がる動きを見せている。

今年6月に行われた大統領選挙では、反対派の急先鋒として支持を集めたマデロ氏が急速に勢力を伸ばしたが、投票前に逮捕され、ディアス大統領が圧倒的多数で七選を果たした。支持者からは「選挙は事前に結果が決まっていた」との声が強く、政権による恣意的な統制への不満が広がっている。マデロ氏は脱獄後に米国へ逃れ、亡命先から今日の決起を呼びかけた。

国内ではすでに北部チワワ州やコアウイラ州を中心に武装蜂起の報が届いており、農地改革を求める農民団体や、治安部隊との対立が続く地域の住民らが行動を開始したとみられる。政権側は首都を中心に部隊を増派し、鎮圧の構えを強める一方、地方では反乱勢力との小規模な衝突が相次いでいる。

メキシコは過去30年以上にわたりディアス大統領による強力な統治の下で近代化を進めてきたが、富の偏在と農民層の困窮が深刻な社会問題となっていた。今回の一斉蜂起は、国全体にくすぶっていた不満が一気に噴き出した形であり、今後の情勢は予断を許さない。

— RekisyNews 国際面 【1910年】

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