デサリーヌ軍、決定的勝利 サン=ドマング独立へ大きく前進

【ヴェルティエール 11月18日】

本日早朝、サン=ドマング北部ヴェルティエールの高地で行われた激戦において、反乱軍指導者ジャン=ジャック・デサリーヌ将軍が率いる軍勢が、フランス本国軍を撃破した。奴隷身分から蜂起したアフリカ系住民を中心とする軍が、皇帝ナポレオンの派遣軍に正面から勝利したことは、植民地支配の行方を大きく揺るがす歴史的な一日となった。

戦闘は夜明け前から断続的に続き、雨に濡れた丘陵地の陣地をめぐって白兵戦が繰り返された。反乱軍は粗末な装備ながらも士気が高く、各部隊がドラムの合図とともに突撃を繰り返し、フランス軍の前線を押し返した。正午過ぎ、デサリーヌ将軍は全軍に進軍を命じ、要衝ヴェルティエール砦を包囲。防衛を担っていたフランス側指揮官ロシュンボー将軍は被害の拡大を受け、午後には撤退の意思を示した。

この勝利により、サン=ドマングをめぐる権力関係は決定的にデサリーヌ側へと傾いた。各地の農園では奴隷制復活への恐れが広がっていたが、反乱軍の勝利は「自由を守る戦い」に大きな希望を与えている。住民の一人は「きょうは我々の運命が変わった日だ」と語り、街には歓声が響いた。

一方、フランス軍は防疫の失敗による損耗も深刻で、これ以上の戦闘継続は難しい情勢にある。ロシュンボー将軍は、停戦交渉のため反乱側へ使者を送ったとされ、植民地の維持は事実上不可能との見方が広がっている。

サン=ドマングの独立は、もはや時間の問題と見られる。奴隷制度に基づく旧来の秩序が大きく揺らぐ中、カリブ海の地政に新たな時代が訪れようとしている。

— RekisyNews 国際面 【1803年】

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