南ベトナムで軍事クーデター発生 ジエム大統領、兄とともに暗殺される

【サイゴン 11月1日】

南ベトナム政権を率いてきたゴ・ディン・ジエム大統領が、本日未明に発生した軍部主導のクーデターにより失脚、同日中に弟のゴ・ディン・ヌー顧問とともに暗殺された。政権中枢を握る二人の急死により、国内は騒然としている。

クーデターを主導したのは、陸軍参謀らを中心とする将校団で、軍はサイゴン市内の政府機関を迅速に制圧。ジエム大統領は当初、脱出に成功したと報じられたが、その後サイゴン郊外で身柄を拘束され、最終的に輸送車内で射殺されたと伝えられている。

ジエム政権は1955年の樹立以来、反共を掲げてアメリカの支援を受けながらも、カトリック優遇政策や仏教徒弾圧、強権的統治に対する国内外の批判が高まっていた。特に今年5月以降、仏教徒による抗議運動が全国で激化。これに対する過剰な弾圧は、最終的に政権内部の支持をも喪失させたとみられる。

アメリカ政府は公式には関与を否定しているものの、近年ジエム政権に対する批判的な姿勢を強めていたことから、今回の政変に一定の影響を与えた可能性も指摘されている。

今後の南ベトナムの政情は不透明であり、ベトナム戦争の泥沼化がさらに進む懸念も強まっている。

— RekisyNews 国際面 【1963年】

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