英戦艦オーディシャス、機雷により沈没――北大西洋上での被害、戦争初期の衝撃

【大西洋北部 10月27日】

本日、イギリス海軍の戦艦「オーディシャス(HMS Audacious)」が、北大西洋上にてドイツ軍の機雷に接触し、数時間の浸水の末に沈没した。 乗員は近隣艦船によってほぼ全員救助されたものの、就役わずか2年の新鋭艦の喪失は英海軍にとって大きな打撃となった。

事故が発生したのは、アイルランド沖・トーリー島近海。第2戦艦戦隊に所属していたオーディシャスは、通常の訓練航海中に突然爆発を受け、船体が大きく傾斜。 初期には自力航行を試みたが、艦尾側からの浸水が制御できず、最終的に午後遅くに沈没した。

本艦は1912年に進水したばかりのキング・ジョージ5世級戦艦で、排水量2万5千トンを超える大型艦。 主砲は13.5インチ砲を搭載し、大西洋艦隊において重要な役割を担っていた。このような主力艦が戦闘によらず機雷によって沈没する事態は、海軍関係者の間でも深刻な警鐘として受け止められている。

事故後、イギリス海軍は当初、本件の報道を一時的に統制。 機密保持と士気維持の観点から公的な沈没発表は控えられていたが、アメリカ客船「オリンピック号」が現場で救助活動に参加していたことから、乗客を通じて情報が各国に伝わり、事実上の公知となった。

ドイツ軍による機雷の敷設範囲はこれまでの推定を大きく上回ることが示唆されており、英本国艦隊の行動範囲や戦略にも修正が迫られる可能性がある。軍事専門家の間では、「大艦巨砲時代においても、目に見えぬ脅威=機雷こそが最大の敵となりうる」との声が高まっている。

第一次世界大戦が本格化する中で、海上兵力の消耗は今後の制海権争いに大きな影響を与えることは確実であり、本件は英国海軍にとって象徴的な痛手となった。

— RekisyNews 国際面 【1914年】

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