筑前・秋月にて不平士族が蜂起――政府軍と衝突、秋月の乱が勃発

【筑前国下座郡秋月村 10月27日】

本日未明、福岡県内の旧秋月藩領(現・下座郡秋月村)において、旧士族らを中心とする一団が蜂起し、政府に対して武装反乱を起こした。 一行は同地の郡役所を襲撃し、武器・弾薬を接収。周辺村落にも動員を呼びかけながら南下を開始し、田川方面を目指して進軍を続けている模様である。

反乱の首謀者とされるのは、旧秋月藩士で儒学者の宮崎車之助を中心とする士族約200名。 彼らは明治政府の近代化政策、特に廃刀令や徴兵制、学制改革、地租改正といった一連の改革が旧士族の地位や生活を著しく損なったことに強く反発していた。

政府側は福岡鎮台に警戒命令を発し、警視隊・鎮台兵を中心とする討伐隊を急派。 午後には嘉麻郡方面で両軍が交戦し、銃声とともに死傷者が出ているとの報もある。 村人の多くは山間部へ避難し、秋月一帯は一時騒然とした空気に包まれた。

今回の蜂起は、今年2月の西南戦争の終結以降、九州各地で燻る士族不満が再び表面化したものと見られる。 特に秋月藩出身者には、幕末の勤王派・尊皇思想を掲げて官軍として戦った経歴を持つ者も多く、その彼らが“裏切られた”との思いから決起に至ったとの見方もある。

一方、政府筋は「新時代の法と秩序を乱す行為であり、断じて容認できぬ」とし、速やかな鎮圧と首謀者の処罰を通じて他地域への波及を防ぐ構えを見せている。

秋月の乱は、中央集権と近代国家建設を急ぐ明治政府に対し、旧士族層が最後の抵抗を示す象徴的事件として今後の歴史に刻まれることとなろう。

— RekisyNews 社会面 【1876年】

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