【ブダペスト 10月23日】
本日夕方、ハンガリーの首都ブダペストで約20万人規模の市民デモが発生。ソ連軍の撤退と民主化の実現を求めて蜂起した群衆と、政権側の治安警察(ÁVH)が激しく衝突し、死傷者が多数発生した模様だ。
発端は、ブダペスト工科大学の学生たちが掲げた16項目の要求。そこには、自由選挙の実施、言論の自由、ソ連軍の即時撤退、さらにはナジ・イムレ元首相の政界復帰などが含まれていた。この学生主導の集会が市民層にも広がり、数時間のうちに数十万のデモ隊へと発展した。
夕刻、デモ隊の一部は国営ラジオ局を占拠しようとしたが、これに対して治安警察が発砲。市民の中からも武器を持ち出す者が現れ、街頭は一時騒然となった。報道機関によると、複数の民間人が死亡し、現場には装甲車も展開されているという。
この動乱は、スターリン死去後も続くソ連の影響支配に対するハンガリー国民の鬱屈した不満の爆発とも見られ、各地に波及する恐れがある。政府は声明を出さず沈黙を保っているが、状況は急速に緊迫化しており、本格的な民衆蜂起の様相を呈している。
西側各国も事態の成り行きに注視しており、今後の東欧諸国の動向に大きな影響を与える可能性がある。
— RekisyNews 国際面 【1956年】