早稲田大学で学生と警官が激突──レッド・パージ反対運動で多数負傷・検挙者

【東京 10月17日】

本日午後、東京都新宿区にある早稲田大学構内で、レッド・パージ反対を訴える学生らと警察官が激しく衝突し、多数の負傷者と検挙者が出る騒乱となった。大学側が警察に出動を要請したことが発端で、現場は一時、騒然とした混乱に包まれた。

学生らは、アメリカ占領下における反共政策の一環として進められている「レッド・パージ(共産主義者の公職追放)」に対し、学問の自由と思想信条の尊重を訴える抗議集会を計画。正午頃から大隈講堂前におよそ300人が集まり、マイクを通じて反対声明を読み上げた。

しかし、大学当局は「授業妨害および構内の秩序維持」を理由に、警視庁に出動を要請。これを受けて機動隊員を含む数十名の警官隊が構内に進入し、集会の強制解散を図った。

その際、一部学生が警官に対し座り込みや怒号で抵抗。押し問答の末、両者がもみ合いとなり、数名の学生が頭部や手足を負傷したほか、十数名が現行犯で逮捕された。学生側は「表現の自由への暴力的弾圧」として大学当局と警察を強く非難している。

早稲田大学広報部は、「政治的主張の是非に関係なく、大学構内の秩序を守る責任がある」とコメント。一方、学生側は抗議の継続を表明し、明日以降もさらなる波紋が広がる可能性がある。

占領政策と学内自治の対立が表面化した今回の事件は、戦後日本の思想統制と自由のあり方を問う象徴的な出来事として、広く注目されている。

— RekisyNews 社会面 【1950年】

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