ロシア、首都モスクワが緊張 最高会議ビルに反大統領派が立て籠もり

【モスクワ 10月3日】

本日、ロシアの政治情勢は一気に臨界点を迎えた。反エリツィン大統領派の議員および民兵が、モスクワ中心部に位置する最高会議ビル(通称ホワイトハウス)に立て籠もり、政府に対する武力抵抗を開始した。

この行動は、ルスラン・ハズブラートフ最高会議議長やアレクサンドル・ルツコイ副大統領ら、憲法裁判所と最高会議の支持を受ける反大統領派によって主導されたもので、エリツィン政権との対立が武力衝突の危機に発展した形である。

現地時間午後、ホワイトハウス周辺では反大統領派を支持する数千人のデモ隊が集結し、治安部隊との間で激しい小競り合いが発生。市街地では一部暴徒化した群衆がテレビ局や市庁舎を襲撃するなど、混乱が広がっている。

エリツィン大統領は9月21日に議会を解散し、憲法に反するとされる大統領令を発出していた。これに対して最高会議側は同命令の違憲を主張し、ルツコイ氏を「代行大統領」として擁立。今日の立て籠もりはその延長線上にあり、双方の正統性を巡る争いが暴力の段階へと突入した。

現在、大統領側は非常事態を宣言し、軍を動員する構えを見せており、事態はまさに「内戦寸前」の様相を呈している。

一方、ホワイトハウスに立て籠もる議員たちは「憲法を守るための正当な抵抗」であると主張し、退去の意思は示していない。

市民の間には動揺と恐怖が広がっており、街には装甲車が展開され、銃声も断続的に響く。モスクワの夜が、次第に戦火の予感に包まれている。

— RekisyNews 国際面 【1993年】

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