【カーブル 9月27日】
アフガニスタンのイスラム主義武装勢力 ターリバーン は本日、同国の首都カーブルを無血で制圧し、 ブルハヌッディン・ラッバーニ政権に代わる新たな体制の樹立を宣言した。1992年の共産政権崩壊以降、分裂と内戦に苦しんだ同国において、最大の政変となる。
明け方、ターリバーン部隊が首都の周辺から一斉に進軍。午前中には主要な政府庁舎、放送局、空港などを次々と掌握。これに先立ち、ラッバーニ前大統領とアフマド・シャー・マスード国防相らは 北部パンジシール渓谷方面へ撤退 した模様で、組織的な抵抗はほとんど見られなかった。
ターリバーン側は「シャリーア(イスラム法)に基づく秩序ある国家の建設」を掲げ、略奪や報復行為を禁じるなど、市民の不安の抑制に努める姿勢を示している。一方で、女性の就学・就労の禁止、公の場での厳格な服装規定の徹底など、急進的な宗教政策が懸念されている。
カーブル市内では、戦闘による大きな破壊は確認されていないものの、市民の間には新政権の意図や今後の生活への不安が広がっている。市民の一人は「今は静かだが、この沈黙が平和とは限らない」と語った。
国際社会では、急展開に対する反応が分かれており、パキスタンやサウジアラビアがターリバーンに理解を示す一方、西側諸国は人権問題や安定性への懸念から慎重な姿勢を崩していない。
アフガニスタンは再び大きな岐路に立たされた。混乱の終息か、新たな抑圧の時代か——その行方は依然として不透明である。
— RekisyNews 国際面 【1996年】