【ヴェルサイユ 9月24日】
フランス国王ルイ14世は本日、神聖ローマ帝国を中心とする複数の諸国に対して正式な宣戦を布告し、軍をライン川流域へと進軍させた。これにより、かねてからの緊張状態にあった欧州の対立が、ついに全面戦争へと突入することとなった。
フランス軍はすでに、プファルツ選帝侯領の要地をいくつか制圧し、都市や修道院、村落に対して焼き討ちなどの略奪行為を開始している。現地からの報告によれば、住民の避難が相次ぎ、ハイデルベルクやシュパイアーなどの街では大規模な火災も発生しているという。
この戦争の背景には、プファルツ継承問題やライン地方におけるフランスの勢力拡大をめぐる対立がある。とりわけ、フランスが主張するプファルツ継承権に対し、神聖ローマ皇帝レオポルト1世がこれを拒絶したことが引き金となったとみられる。
また、ルイ14世が宣戦布告を行うにあたり、先に組織された「アウクスブルク同盟」──神聖ローマ帝国、スペイン、スウェーデン、オランダ、サヴォイア公国などから成る反フランス陣営への牽制も意図されていると見られ、欧州全土を巻き込む大規模な戦争へと発展する恐れがある。
ルイ14世は宮廷での声明において、「フランス王国の正当な継承権と国土の安全を守るため、やむを得ず剣を取るに至った」と述べたが、その意図と行動には疑念と警戒の声が広がっている。
欧州の均衡が揺らぐ中、戦火の拡大はもはや避けられず、各国の対応が注目される。
— RekisyNews 国際面 【1688年】