【ローマ 9月20日】
本日早朝、イタリア王国軍がローマ市内へと進軍し、長らく教皇庁の支配下にあったこの永遠の都を掌握した。国民国家統一運動の最終章とされてきたこの一手は、ローマを首都とする国家的悲願の達成に他ならず、イタリア各地に激震が走っている。
王国軍はアルピーニ歩兵旅団を主力に、今月中旬よりローマ周辺に展開。今朝、アウレリアヌス城壁の一角、ピア門付近にて小規模な砲撃戦ののち突破を果たした。教皇軍の抵抗は限定的であり、戦闘は短時間で終了。市内は現在、比較的平穏を保っている。
この進軍に対し、教皇ピウス9世は外交的抗議を行い、サン・ピエトロ大聖堂内に留まる姿勢を示している。教皇庁はフランスのナポレオン3世からの軍事的支援を失って以降、防衛が困難であったとされ、外交的孤立も進んでいた。今回の占領を受け、事実上の教皇領崩壊が確定的となった。
一方でイタリア政府は、ローマを国王ヴィットーリオ・エマヌエーレ2世のもとで統一国家の新たな首都とすべく、行政機構の整備に着手する見通しである。多くの市民は困惑しつつも、イタリア統一の象徴的成果に期待を寄せる声も聞かれる。
ただし、教皇の主権と信仰上の地位に関する議論は今後も尾を引くことが予想され、国際社会の反応も注目されている。
— RekisyNews 欧州通信部【1870年】