【マドリード 9月13日】
本日未明、スペイン王国において軍事クーデターが発生し、カタルーニャ総督ミゲル・プリモ・デ・リベラ将軍が政権を掌握した。政府はすでに辞任し、国王アルフォンソ13世はプリモ・デ・リベラによる臨時軍事政権の樹立を承認した。
クーデターの発端は、プリモ・デ・リベラ将軍が率いる部隊がバルセロナの主要施設を掌握し、マドリード政府に対し「国家の再建と腐敗の一掃」を目的とする新体制への移行を要求したことに始まる。通信・鉄道・行政機関などが軍の支配下に置かれた後、同将軍は自らを「統治評議会議長」に任命し、議会の機能停止と憲法の一時停止を宣言した。
将軍は声明の中で、「政党政治の腐敗と内紛が国家を混乱に陥れてきた。いまこそ新しい秩序のもとに、国家の道徳と威信を取り戻す」と強調。モロッコでの軍事失敗や、労働運動・分離主義の激化に対する既存政府の無策を強く批判した。
王宮筋によれば、国王は本件について「憂慮しつつも、事態の収拾と国家安定のために支持せざるを得ない」と述べたという。民主主義制度の将来に暗雲が立ち込める中、今後のプリモ・デ・リベラ政権の行方が注目される。
街頭では沈黙と緊張が支配しており、一般市民の反応はまだ限定的だが、労働組合や一部知識層からは早くも懸念の声が上がっている。スペインは今、新たな時代の入り口に立っている。
— RekisyNews 国際面 【1923年】