エチオピア皇帝ハイレ・セラシエ廃位 軍評議会が政権掌握し社会主義体制へ移行

【アディスアベバ 9月12日】

 本日、エチオピア帝国において歴史的な政変が勃発し、皇帝ハイレ・セラシエ1世(82)が軍部によって逮捕・廃位された。政権は、「臨時軍事行政評議会(通称:デュルグ)」と呼ばれる将校団主導の軍事政権に移行され、近代エチオピアの絶対君主制に終止符が打たれた。

このクーデターは、長年続いた皇帝による専制体制と経済的格差、食糧危機、そして腐敗した官僚制度への国民の不満を背景に進行してきた。特に、数年にわたる干ばつと飢饉が引き起こした人道的危機と、それに対する政権の無策は国民の怒りを爆発させるきっかけとなった。

軍事評議会は国営ラジオを通じて、

「帝政は国民の福祉を顧みなかった。エチオピアは新たに、平等と正義に基づく社会主義国家として再出発する」

 と声明を発表。政治犯の釈放や農地改革、富の再分配など、急進的な社会改革の実施を予告している。

ハイレ・セラシエ1世は、1930年の即位以来、アフリカ統一の象徴として君臨し、国際的にも尊敬を集めた人物であったが、晩年は独裁色の強い統治と社会格差の拡大に批判が高まっていた。

エチオピアは今後、旧来の封建体制から脱却し、冷戦下における社会主義国家としての道を歩むとみられており、周辺アフリカ諸国および西側諸国の反応が注目されている。

3,000年に及ぶ皇帝の血統が断たれた今、エチオピアは大きな転換点に立たされている。

— RekisyNews 国際面【1974年】

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