【オタワ 9月10日】
カナダ政府は10日、ナチス・ドイツに対し正式に宣戦布告した。これは、9月1日にドイツがポーランドへ侵攻したことを受けて、英仏両国が相次いで対独戦争に突入してから6日後の決定となる。カナダは今回、あえてイギリスとは独立しての宣戦布告に踏み切り、主権国家としての立場を明確に示した。
議会では9日、戦争参加の是非を巡って緊迫した審議が行われたが、圧倒的多数での承認を経て、マッケンジー・キング首相は翌10日、ジョージ6世国王の名のもとに正式な宣戦布告文を発布。首相は演説の中で、「我が国の自由と国際的責任に照らして、この侵略に沈黙することはできない」と述べ、国民の結束を呼びかけた。
今回の布告は、1931年のウェストミンスター憲章により英国から法的に独立したカナダが、自国の判断によって戦争を決定するという新たな一歩でもある。事実上、これまでイギリスと運命を共にしてきたカナダにとって、独自の外交・防衛判断を行った初の重大局面となった。
国民の間では、ヨーロッパの危機に対し自由世界の一員として行動すべきとの声が強まっており、すでに多くの志願兵が軍への入隊を申し出ている。国内のラジオ放送局や新聞各紙も、戦時下体制への移行を急速に報じ始めた。
陸軍・海軍・空軍の各部門はすでに動員体制に入りつつあり、初期の部隊派遣に向けた準備が急がれている。政府は今後、経済体制の再編や物資供給、徴兵制度の見直しなども視野に入れているとみられる。
カナダの決断は、イギリス連邦諸国の中でも特に注目されており、今後の国際的な枠組みにおいても大きな影響を及ぼすことが予想される。
— RekisyNews 国際面 【1939年】