サン・マルシャルの戦い、スペイン軍が仏軍撃退 包囲網を維持


【バスク・サン・マルシャル高地 8月31日

本日未明、サン・セバスティアン救援を狙うスールト元帥の仏軍がビダソア川を渡河し、サン・マルシャルの高地でスペイン軍陣地に猛攻をかけた。フレイレ将軍の指揮下、スペイン歩兵は逆茂木と石垣を盾に斜面で粘り、霧雨と豪雨が交互に襲う中で二度の主攻を退けた。濡れた火薬で仏軍の射撃が鈍り、増水した渡渉点では砲の前進も滞った。

正午過ぎ、仏軍は側面迂回を図るが、英葡の予備隊と砲が山麓から横撃し、スペインの白兵反撃がこれを押し返す。夕刻には仏軍の攻勢意欲が衰え、橋と浅瀬に退却の列が生じた。高地を占め続けたスペイン軍の士気は高く、総司令ウェリントンは戦況を視察しつつ、主力を温存して包囲網の維持を優先した。

同時刻、遠く海辺ではサン・セバスティアン市内での突入戦も激化。城塞守備隊の救援に失敗した仏軍は、夜半までに国境側へ下がりつつ再編に入った。今日の会戦は、スペイン軍が単独で仏軍の矛先を挫いた点で画期的であり、秋の反攻に向け連合軍の主導権を固める結果となった。次の焦点は、国境地帯での渡河作戦と補給線の確保である。

戦場周辺のイルンやパサイアでは輸送隊と避難民が交錯し、橋梁の破損で補給が滞る場面も。仏軍は野営の幕と弾薬車を一部放棄し、夜陰に紛れて騎兵を後衛に据えて撤収したと伝わる。スペイン側は鹵獲品の整理と負傷者搬送に追われ、雨に濡れた火打石の乾燥と弾薬補充が急がれている。勝敗は明白だが、追撃は夜明けの天候回復を待つ見通しだ。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1813年】

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次