SCIRI指導者ハキーム師、ナジャフで爆弾テロにより死亡 イラク南部で大混乱

【ナジャフ 8月29日発】

イラク南部ナジャフの聖廟近くで本日、大規模な爆弾テロが発生し、イラク・イスラム革命最高評議会(SCIRI)の指導者、ムハンマド・バーキル・ハキーム師(60)が死亡した。現地警察当局によれば、事件は礼拝を終えた参拝者が多数集まる中で起き、少なくとも80人以上が死亡、100人以上が負傷した模様。戦後混乱が続くイラクに再び深刻な衝撃を与えている。

爆発は午後1時過ぎ、シーア派最高聖地のひとつである「イマーム・アリー廟」付近で発生。参拝を終えたハキーム師が車で移動しようとした瞬間、駐車中の車両に仕掛けられた高性能爆弾が爆発したとみられる。現場は一面瓦礫と煙に覆われ、叫び声が響く中、救急車と市民が必死に負傷者を運び出した。

ハキーム師は、フセイン政権崩壊後のシーア派社会で最も影響力のある宗教指導者の一人で、イラク暫定統治下での政治プロセスに重要な役割を担っていた。今回の暗殺により、シーア派内部の権力争いや、スンニ派過激派との衝突激化が懸念されている。

SCIRIは声明で「ハキーム師は殉教した。我々はテロリズムと戦い続ける」と発表。米国主導の連合暫定当局(CPA)は「犯行はイラクの安定を妨げる卑劣な挑発」と非難し、現地での警戒を強化している。一方、目撃者の一人は「恐ろしくて言葉が出ない。もうどこにも安全な場所はない」と涙ながらに語った。

戦後イラクの治安回復は大きな転機を迎えている。

宗派対立の連鎖が広がれば、復興の道は一層険しさを増すことになりそうだ。

— RekisyNews 国際・中東面 【2003年】

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