英艦隊、ザンジバル宮殿を砲撃 わずか40分で決着

【ザンジバル 8月27日発】
アフリカ東岸のザンジバル島で今朝、大英帝国艦隊とザンジバル・スルタン国との間で武力衝突が発生し、わずか40分でザンジバル側の敗北が決した。これにより、ザンジバル宮殿は炎上し、旧スルタン派の武装勢力は壊滅。現地住民の間では大きな衝撃が広がっている。

事の発端は、今月25日にスルタン・ハマドが急逝したことに始まる。後継問題をめぐり、イギリスは親英派のハムードを支持したが、反英派のハリードが宮殿を占拠し即位を宣言。これに対し、イギリス総領事はハリードに退位を要求したが、昨夜までに応じる気配はなかった。

今朝9時、期限切れと同時に停泊中のイギリス艦隊が一斉射撃を開始。宮殿は短時間で大破し、ハリード派の砲台は次々に沈黙した。目撃者によれば、「轟音が海と街を揺らし、煙と炎が一面を覆った」という。ザンジバル側はおよそ500名が死傷した模様だが、イギリス側の損害は極めて軽微とされる。

午後にはイギリスが推すハムードが新スルタンとして即位し、現地行政権も再編される見通し。市場周辺では「戦争は終わった」と安堵する声がある一方、街路には崩れた建物や負傷者の姿が残り、住民の間には不安が漂う。

アフリカ沿岸における大英帝国の影響力はさらに強まり、インド洋交易の要衝としてのザンジバル支配は確実なものとなった。
短くも激しい砲声は、帝国の力を示すと同時に、植民地情勢の不安定さを改めて印象づけた。

— RekisyNews 国際・アフリカ面 【1896年】

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