【ザクセン・ドレスデン 8月26日】
本日早朝、オーストリア・ロシア・プロイセンの連合軍(総司令シュヴァルツェンベルク)がエルベ右岸の高地から前進し、市外の村落と門前を一斉に攻撃。守るフランス軍はサン=ティール(サン=シール)軍団が城壁線と堀、家屋バリケードを拠点にしつこく抵抗した。小雨が降りしきり、湿った火薬とぬかるむ斜面が歩兵の射撃・突撃をともに鈍らせるなか、砲兵は石畳の跳弾で進路を掃き、街路戦の様相を強めた。
正午過ぎ、ナポレオン皇帝が近衛隊・砲兵・ミュラ騎兵を率いて到着。右手のプラウエン方面へ火砲を集中し、長砲身の一斉射で押し寄せる縦隊を足止めすると、逆襲の小出しを繰り返して包囲の楔を外した。連合軍も増援を注いで側面から圧力を維持し、村境の果樹園や水路の線をめぐって奪い合いが続く。通信は泥道で滞り、予備の投入が遅れる場面もあった。
日没近く、豪雨が強まり視界が閉ざされると、双方は砲列を後退させて夜営に移行。市内では弾薬の再配分と負傷者の収容が急がれ、外周では哨兵線が二重に敷かれた。皇帝は上流側の要口確保を部隊に指示したとされ、連合軍は明朝の再攻勢に備え砲車を乾地へ退避させている。
ドレスデンの帰趨はサクソンの忠誠とエルベ渡河点の掌握に直結し、秋の作戦全体を左右する。夜の雨幕の向こうで、砲と馬の蹄鉄が鈍く響く。決着は、明日の空と初動の一撃に懸かっている。
— RekisyNews 国際・戦況面 【1813年】