サン・バルテルミの虐殺、パリで勃発 ギーズ公派が改革派を襲撃

 【パリ 8月24日】

本日未明、パリ市内でカトリック勢力が改革派(ユグノー)指導者らに一斉襲撃を開始した。ギーズ公アンリの手勢が合図の鐘とともに宿舎へ踏み込み、先日暗殺未遂に遭ったコリーニ提督の陣営を筆頭に、要人の名簿に基づく急襲が相次いだ。王都の門は閉ざされ、市内の橋と辻は武装した市民と衛兵で埋まり、逃走の途は限られている。

王宮は「治安維持のための措置」と沈黙を守るが、勅命の有無をめぐる噂が錯綜。今週の王女とナヴァール公の婚儀に合わせ地方から集まっていた改革派の貴族・随員が標的となり、私邸の扉は破られ、家財と記録が持ち去られた。修道院や親族の屋敷へ駆け込む者もいる一方、近隣のカトリック住民が幼子や婦人をかくまう事例も伝えられる。

市当局は夜間外出の禁止と火の用心を布告したが、石畳には武具が散り、負傷者のうめきが続く。犠牲者数は判然とせず、地方都市への波及も懸念される。宗派対立の亀裂は決定的な深さに達しつつあり、和解への橋は炎上寸前だ。祈りの声と怒号が交錯する王都で、夜明けを告げる鐘の音さえ不吉に響いている。

— RekisyNews 国際・宗教紛争面 【1572年】

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