スタテン島で衝突 大陸軍、英軍拠点を急襲も撤収で混乱

【スタテン島 8月22日】

夜明け前、大陸軍の縦隊がニュージャージー側から小舟で海峡を渡り、英軍と王党派(ロイヤリスト)の哨所を奇襲した。複数の番屋を制圧して捕虜と兵糧を得たが、警鐘により守備隊が集結し、島内各地で小競り合いが連鎖した。

作戦を率いるサリヴァン少将は北部の拠点を、スモールウッド准将は南部の哨所群を狙った。だが湿地と生け垣、狭い畦道に隊列が裂かれ、伝令は遅延。合図の時刻に集合点へ揃わず、攻撃軸は次第に分散した。

本作戦の狙いは、ニューヨーク湾口に置かれた英軍の哨戒線を乱し、王党派民兵の士気と連絡をくじくことにあった。島では忠誠派の住民支援も厚く、物資補給の集積所や渡船の管理が英側に有利に働く。大陸軍は短時間の打撃で捕虜を確保し、後日の交換に用いる算段だった。

正午前、王党派義勇兵と英正規軍の増援が反撃に転じ、浅瀬と渡し場に圧力がかかる。退路として手配した舟は潮と逆風で遅れ、撤収隊は待機の間に側面を突かれた。一部は泳いで対岸へ退き、一部は包囲され多数が捕縛された。

対岸の砲列は掩護射撃で追撃を抑え、渡り切った部隊は捕虜を伴って再編。奇襲で得た物資と情報はあるものの、戦果は限定的だった。英側は「拠点への損害は軽微」と強調し、周辺の沿岸監視を強める構えだ。

ニューヨーク周辺の均衡を揺さぶる突発行動は、離脱手段の確保と連絡の難しさを改めて示した。秋の作戦季を前に、両軍の綱引きは続く。潮と風、泥と生け垣―地形が勝敗を左右する前線で、次の一手に注目が集まっている。

— RekisyNews 国際・戦況面 【1777年】

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