【レスターシャー・ボズワース野 8月22日】
本日、薔薇戦争の帰趨を決する会戦がボズワース野で行われ、ヨーク王朝軍を率いるリチャード三世が戦死、対するランカスター派のヘンリー・テューダーが勝利を収めた。夜明けから矢と砲が火ぶたを切り、泥濘の丘陵で歩兵線が押し合う中、王は自ら槍を取り馬で敵中に突入。旗手のもとへ一直線に迫る果敢な突撃で一時は敵将の側近を斬り伏せたが、数に勝る側面攻撃に挟まれ落馬したという。
戦場周辺を観望していたスタンリー家の軍勢は当初去就を曖昧にしていたが、決定的局面でヘンリー側に加担し、王軍の横腹を突いた。これによりヨーク方の隊列は崩れ、王の旗印「白い猪」が地に伏すと士気は急落。退路を断たれた部隊は各所で武具を捨て、丘の影へ散った。
王の遺体は戦場で確認され、頭上の王冠はヘンリーの陣に運ばれた。諸侯はその場で新王を「ヘンリー七世」と称え、即席の戴冠が行われた。兵の一人は「旗が倒れた瞬間、風向きが変わった」と語り、勝者の陣では太鼓が鳴り響いた。
ロンドンでは早くも使者が走り、王都の評議は新王の入城準備に入る見込み。ヘンリーはヨーク家のエリザベスとの婚姻をもって両家の和合を図る方針で、長き内乱に終止符が打たれる公算が大きい。諸侯の誓約更新、恩赦と所領確認、傭兵支払いなど、即時の政務も山積している。
王権は剣の先で決したが、統治は剣だけでは保てない。血の薔薇をひとつの茎に綴じることができるか―新王の手腕が国の明暗を分ける。
— RekisyNews 国際・戦況面 【1485年】