平家一門、西へ退く 安徳天皇と三種の神器を奉じ京を発つ

 【京 8月14日】

都に迫る木曾義仲の軍勢を受け、平宗盛を大将とする平家一門は本日、安徳天皇を奉じて京を発ち、西国へ向かった。三種の神器も同時に運び出され、都は急速に緊張と混乱に包まれている。

義仲は北陸から京へ進軍し、先日の加賀・越前での戦勝を経て、琵琶湖方面から迫ってきた。これに対し平家は数万の兵力を集めて防戦を試みたが、各地で敗退が続き、ついに宗盛は撤退を決断した。今朝未明、内裏から安徳天皇と后・女院方を牛車に乗せ、神器を厳重に守って西国街道へ向かったという。

市中では早朝から武士や公家が屋敷を離れる姿が目立ち、商人や町人の中には財を抱えて避難する者も多い。洛中の一角で見送った老人は「この都から帝が去るのは長らく見ぬ事態。吉凶は計り知れぬ」と肩を落とした。

宗盛は山陽道を経て九州方面へ向かう見通しで、途中の諸国に在地武士の協力を求めるとみられる。都には一部の公家と寺社勢力が残り、義仲軍の入京に備えている。

今回の退去は、都の支配権が実質的に義仲側へ移ることを意味し、今後の政務運営や朝廷の権威に大きな影響を及ぼすのは必至だ。すでに京の町では、義仲の新政に期待する声と治安悪化を憂う声が交錯している。

安徳天皇と神器の行方は、今後の政争の中心となる可能性が高く、戦乱の行方はますます混迷を深めそうだ。

— RekisyNews 政治面 【1183年】

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