那覇・波上で騒乱 米兵の投石負傷が火種、群衆が外人バー街へ移動し車両炎上

【那覇 8月11日】
きょう未明、那覇市内で米兵の投石・暴行を契機に騒乱が発生した。午前1時半ごろ、軍道1号線(現・国道58号)那覇軍港前で客待ち中のタクシーに米兵が石を投げ、運転手に暴行、負傷させた。米兵は琉球警察・山下派出所に身柄拘束されたが、同僚運転手や通行人らが押し寄せて「米兵を出せ」と騒然となり、警察は被疑者を那覇署(泉崎)へ移送した。県庁前交差点周辺は野次馬を含め数百人規模の人だかりとなった。

午前3時半ごろ、群衆の一部が「外人は波上にいる」との声に反応し、タクシーで波上(辻)地区の外人バー街へ移動。米軍関係車両を示す黄色ナンバーの乗用車が横転・放火され、通行中の外国人に対する暴行も発生した。機動隊が出動して規制線を敷き、午前4時過ぎにおおむね沈静化。発端となった米兵の身柄は、その後憲兵(MP)に引き渡された。

警察は夜通しの非常招集体制を維持し、主要交差点での通行規制と繁華街の巡回を継続。市当局は市民に外出自粛と冷静な対応を呼びかけている。現場周辺では交通の一部が滞り、タクシー営業にも影響が出ている。

背景には、占領下で続く米兵による事件への不信と不満があるとみられ、地元関係者は「抑え込むだけでなく、通報から身柄扱いまでの説明責任が不可欠」と指摘。再発防止へ、通訳体制の強化や米側との迅速な連携手順の明文化を求める声が上がっている。

— RekisyNews 社会面【1971年】

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