【フィリピン・コレヒドール 3月11日】
本日夜、フィリピンにおける連合軍最高司令官ダグラス・マッカーサー大将が、日本軍の猛攻にさらされているマニラ湾の要塞・コレヒドール島を離れ、オーストラリアへと向かった。ルーズベルト大統領の厳命を受けたこの極秘の撤退は、極東における連合軍の防衛体制が重大な局面を迎えたことを示している。
マッカーサー大将は、ジーン夫人と長男アーサー君、そして「バターン・ギャング」と呼ばれる精鋭の幕僚らと共に、4隻のPTボート(高速魚雷艇)に分乗。闇夜に乗じて日本海軍の厳重な封鎖網を突破する、命がけの脱出劇を敢行した。将軍は当初、兵士たちを置いて去ることに強く抵抗したが、最終的にはオーストラリアでの軍再編を指揮せよとの大統領命令に従った形だ。
守備隊の士気への影響が懸念される中、将軍は去り際に「アイ・シャル・リターン(I shall return:私は必ず戻ってくる)」という力強い言葉を残したと伝えられている。これは、現在は日本軍の軍靴に踏みにじられているフィリピンの地を、必ずや自らの手で奪還するという不退転の決意表明である。
残されたバターン半島の将兵やコレヒドールの守備隊は、依然として物資不足と疫病に苦しみながらも絶望的な防衛戦を続けている。最高司令官の離脱という衝撃的なニュースに対し、ワシントンやキャンベラでは、これが反転攻勢への第一歩となるか、あるいはアジアにおける連合軍の完全敗北の前兆となるか、固唾を呑んで推移を見守っている。
— RekisyNews 軍事面 【1942年】
