「摺鉢山」に翻る星条旗 ── 硫黄島の戦い、日米双方の死闘極まる

【硫黄島 2月23日】

太平洋戦争の行方を占う極限の戦場で、象徴的な出来事が起こった。本日午前10時20分頃、米海兵隊第5師団の兵士たちが、硫黄島の最高峰である摺鉢山(すりばちやま)山頂星条旗を掲揚した。これは、地獄の様相を呈する日米両軍の激しい攻防の中、攻略困難とされた要衝を奪取したことを意味する。

この「硫黄島の星条旗」掲揚の背景には、米軍による日本本土空襲の拠点確保という戦略的目標がある。しかし、栗林忠道中将率いる日本軍は、地下要塞と巧妙なゲリラ戦術で徹底抗戦。米軍上陸以来、摺鉢山周辺では想像を絶する白兵戦と砲爆撃が繰り返されてきた。米軍はすでに多くの犠牲者を出し、山頂制圧も一筋縄ではいかないと予想されていた。この旗は、まさに血で血を洗う死闘の末に掴み取られた、決定的な勝利の証である。

現場となった摺鉢山山頂は、米軍による度重なる艦砲射撃と空爆により、地表が抉り取られ、焦げ付いた岩肌が剥き出しになっている。土煙が舞い上がる中、海兵隊員たちは弾薬の飛び交う中、鉄条網と日本軍の残敵を排除しながら旗を掲げた。遠く離れた洋上からは、米海軍の艦艇や上陸した兵士たちが、その小さな旗が翻る様子を目に焼き付けている。ある従軍記者は、ファインダー越しにその光景を捉えながら「これこそが戦争の狂気と、兵士たちの途方もない犠牲を物語る絵だ」と、感情を押し殺した声で呟いた。夕日が傾き始める硫黄島の空に、希望と悲劇が混じり合う星条旗がはためいている。

この摺鉢山への星条旗掲揚が、米国民の士気を高め、戦争勝利への確信を強めるプロパガンダとして機能していくのではないかとの見方もある。また、想像を絶する激戦を生き抜いた兵士たちの姿が、後の世に戦争の悲惨さと平和の尊さを訴えかける強いメッセージとなるのか。硫黄の匂いが立ち込める孤島で掲げられた一枚の旗が、日米双方の歴史にいかなる刻印を残すのか、その行方が鋭く注目される。

— RekisyNews 戦報 【1945年】

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